365日のラブストーリー
 買ったばかりのサンダルを履いて部屋を飛び出し、エレベーターでロビー階に下る。

 特別なオーラがあるからか、たくさんの人の中にいても、彼の姿はすぐに見つかった。白のリネンシャツに、グレーのパンツ。普段は見えない足の甲が見えるというだけで、レザーのビーチサンダルにどきっとする。

「神長さん」
 レセプション前のソファにかけている神長に呼びかけると、目が合った。神長は微笑むでもなく、有紗の目をじっと見つめ、視線を足元まで滑らせていく。

(もしかして、怒ってる?)
 顔立ちが整っているからそう見えるだけなのかもしれない。前向きに捉えようとしてみるが、いつもとは明らかに様子が違う。

「なるほど、このことか」
 神長はため息をついて、ソファから立ち上がった。それから、居心地のわるそうな有紗の顔を見て、取って付けたような微笑みを向けてきた。

「みなさんと食事をしているんですよね? 近くなんですか」
 笑顔を取り繕うと、神長の手のひらが背中に触れた。引き寄せられて、腕の中に収まった。
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