365日のラブストーリー
「まきさんとうまくいかないからといって、あなたに逃げるようなことはしたくないと、考えていました。けれど、今日彼と会って吹っ切れました」

「ええと、それはいい方向に、ですか?」
「そうです」

 意味を掴み切れていないはずなのに、頬が熱くなっていく。神長の考えはわからない。早とちりしてはいけないと、有紗は自分に言い聞かせた。神長はまた有紗の手を取って歩き始めた。
 ネオンのまばゆいメイン通りは、ブランドの袋を提げた買いもの客で賑わっている。

「覚えていますか、以前あなたは俺に『心を満たすには、もしかしたら何人もの親密な関係の人が必要なのではないか』と言いました。あのとき俺はその考えを肯定しましたが、あとから随分考えました」

「すみません、余計なことに頭を使わせてしまって」

「たしかに俺にとって、まきさんは必要な人だと思います。仕事のパートナーになるのなら、関係には客観性が必要ですが、まきさんにだけは俺のことを理解して欲しいと思っていますし。でも俺は彼の全てを求めているわけではありません。説明が難しいのですが」


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