365日のラブストーリー
 触れられるまでもなく受け入れる準備ができてしまっていたせいか、そのあとが大変だった。感情が制御すらできなくなって、行為中に大泣きすることになるとは思いもしなかった。

「はぁ……、ほんと……」

「ん?」
 神長の声で有紗ははっと我に返った。

 人に何かを尋ねておきながら、まったく違うところに意識が飛んでしまっていた。
 顔を覗き込まれて、有紗は赤面した。何を口走っていたのか、気付かれてしまっているかもしれない。

 俯こうとするとあごを持ち上げられて、唇を塞がれる。軽いキスでも身体はすぐに火照ってくる。これから先、会うたびにこんな風になってしまったらどうしようかと、不安になるくらいだ。

「朝食はやめにして、ベッドに戻りますか」

「えっ、それはだめです。だって今朝は絶対にエッグベネディクトにするって決めてるんですから。わたし日本でたくさん調べてきて、神長さんと一緒に行きたい朝食のお店もいっぱいあって」

 スマートフォンで店のサイトを見せようとするが、神長の視線は有紗の横顔に置かれたままだ。振り向くと、彼は微笑んだ。
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