365日のラブストーリー
「たしかにそう言いましたけれど」
「これもあなたの優しい性格がつくったものですから、愛すべきところでしょう」

「わ、わかりました。……じゃあ旅行中くらいはもう何も気にせずにいきます。そのかわり、水着はもうあきらめます。絶対に無理……」

「是非見たかったですけどね」
 世間一般の男と同じように女性の水着姿に興味があったのか、と思っていたら「恥辱に震える姿もかわいらしかったので」と、神長は唇の端を上げた。

 少しだけ意地の悪いその笑顔がなんとなく可愛く思えてしまい、有紗はあらためて、この人のことを愛さずにはいられないのだろうと感じた。この先、知らない一面を見せられたとしても、きっと。

「神長さん」
 名前を呼ぶと、彼は足を止めた。

「わたしは絶対に、どんな神長さんでも好きなので」
 面くらったような顔をしていた神長は、有紗の頭にぽんと手のひらを乗せ「行きますよ」と照れくさそうに俯いた。


 その晩は神長おすすめの日本食レストランで早めのディナーを済ませて、部屋の中でじゃれあいながら夜が更けていくのを待った。

 真っ赤に焼けていた空には、いつしか夕闇のカーテンがかかり、日付が変わる頃になると星が濃くなってくる。赤い光のライトで道を照らしながら海に出て、砂浜の上に並んで腰掛けながら空を見上げる。
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