365日のラブストーリー
 暗闇に目が慣れるほど、星明かりの粒が鮮明になっていく。ヤシの葉の隙間からは白いもやのようなものが見える。天の川だ。

 神長が砂浜に寝転んだ。有紗もそれに倣って身体を倒すと、彼は片腕を伸ばす。頭はちょうど脇のあたりに収まった。

「北の空を見ていてください。星が移動していくのがわかると思います。地球が回っているということを感じられるはず」

「わたし、そんな観察の仕方があるなんて、考えたことなかった」

「普通は星座を探しますよね。……俺は自分という存在が、大きな流れの中のほんの一粒でしかないと実感したくて星を観るのかもしれません。何をやろうがたいしたことないのなら、心の向く方に行けばいいと、思えるのでしょうね」

 有紗は恋人と一緒に、雄大な時の流れに身を置いてみる。
 この先彼と同じ視点で生きられたら、自分はどう変わるのだろう。未来に期待が膨らむなんて、これまで一度もなかった。
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