365日のラブストーリー
 リーフパイが有名な店だが、有紗のお気に入りはソフトは歯触りで、ほろほろとした食感のドライケーキだ。ボリュームもあってティータイムにぴったりの品なのだ。

 ありきたりすぎるかと思い、今日の手土産を選ぶために新店スイーツを買い集めて毎晩試食をしていたのだが、二人の顔を思い浮かべたときいちばんしっくりくるのが結局、老舗洋菓子店のドライケーキのような気がして、今日神長に買いに行ってもらってきた。

「店までは俺が持ちますが、有紗から渡してください」
 神長は伝票を取って立ち上がった。

「でも、廉さんが買ってきてくれたのに」
「あなたが渡した方が、二人は喜んでくれますよ。夜な夜な研究を重ねてくれていたようですし」

 腰に手を添えられて、有紗は反射的に腹部をへこませていた。『ひみつの場所』は神長と共有部位になったのだが、恥ずかしさはなくなりそうにない。

 地下鉄に乗って、二人は芝公園に向かった。都内一等地、東京タワーの麓にある巨大な敷地に、目的の料亭がある。
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