365日のラブストーリー
 有紗はいつか、一緒に住みますか、と訊かれたときのことを思い出していた。

 付き合って日が浅いのに、同棲なんて早すぎる。婚前に一緒に暮らすと、お互いの嫌な部分が目に付くようになって結婚まで至らない。いつまでもそんな一般論に縛られているほうが、後悔するのではないだろうか、と。

 ふたたび旅行に話が戻り、話が弾む。勧められるがままワインを飲んでいると、食事が終わる頃にはボトル二本が空いていた。ほろ酔いを通り越してだいぶ良い気分になったころ、永田がカメラを取りだした。

「よかったらまた二人の写真を撮らせてくれないかな? この建物と一緒に」
 有紗は意見を求めて、神長を振り返った。

「撮ってもらおうか?」
「そうですね。永田さん、よろしくお願いします」

 絵津子の話を聞いたからなのか、神長との今を焼き付けておきたくなった。それに、神長に写真を撮らせてくださいと頼むのも恥ずかしくて、旅行まで一緒にしたというのに、彼の写真が一枚もないのだ。

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