365日のラブストーリー
「なに」
彼は少し目を細めて、有紗の眼差しを深く捕らえる。
「写真を撮るとき……手をつなぎたいです」
神長の手が、すぐに有紗の指に触れる。昔ならそれだけで緊張に汗ばむほどだったのに、今は大きな手に包み込まれると安心する。
「もっと大胆な要求をされるかと思いました。最近のあなたは酔うとすぐに――」
「廉さんっ」
「まあ、そういうところも気に入っていますけれどね」
カメラのフラッシュが光って、有紗は正面に向き直る。
「次は本番だ。そのままこっちを向いてて」
永田は片手をあげて合図をし、カメラを構え直した。
どうやって笑顔を作ったらいいのだろう。カメラを向けられるとそればかり考えていたが、神長と一緒に写るときにはもう悩まない。彼のことを心から好きだと思ったときに、自然と笑顔になれるのだから。
有紗は神長の手を握り直した。
「さあ、撮るよ。……はいチーズ!」
永田夫妻はこの辺りでホテルを予約しているらしい、東京タワーに隣接した公園で二人と別れて、有紗は神長と駅に向かって歩いていた。
仕事帰りの食事会だったというのに、神長がそこにいるからなのか、一週間の疲れも感じないほど足取りは軽かった。
彼は少し目を細めて、有紗の眼差しを深く捕らえる。
「写真を撮るとき……手をつなぎたいです」
神長の手が、すぐに有紗の指に触れる。昔ならそれだけで緊張に汗ばむほどだったのに、今は大きな手に包み込まれると安心する。
「もっと大胆な要求をされるかと思いました。最近のあなたは酔うとすぐに――」
「廉さんっ」
「まあ、そういうところも気に入っていますけれどね」
カメラのフラッシュが光って、有紗は正面に向き直る。
「次は本番だ。そのままこっちを向いてて」
永田は片手をあげて合図をし、カメラを構え直した。
どうやって笑顔を作ったらいいのだろう。カメラを向けられるとそればかり考えていたが、神長と一緒に写るときにはもう悩まない。彼のことを心から好きだと思ったときに、自然と笑顔になれるのだから。
有紗は神長の手を握り直した。
「さあ、撮るよ。……はいチーズ!」
永田夫妻はこの辺りでホテルを予約しているらしい、東京タワーに隣接した公園で二人と別れて、有紗は神長と駅に向かって歩いていた。
仕事帰りの食事会だったというのに、神長がそこにいるからなのか、一週間の疲れも感じないほど足取りは軽かった。