365日のラブストーリー
「そうですね。……言葉で表現するのなら、子どものようなあどけなさに、色気をたっぷり注ぎ込んだような顔、ですかね」

「ええ、それってどんなですか」
「要するに今みたいな顔ですよ」
 神長はなぜか不服そうな表情で、有紗の右頬をつまんだ。

「駅で解散しようかと思っていましたが、やっぱり家まで送ります」
「うう……」
 大丈夫です、と言おうとしたが口が動かせない。指を離れると、そのまま頬をするりと撫でられて、愛しさがこみ上げる。

「わたし、もう少しだけでもいいので一緒にいたいです」

 神長は長らく日本を離れていたし、帰国後は週末でも人と会う用事が多くてずっと忙しそうだった。四人で話をするのも楽しかったが、やっぱり二人でゆっくり話もしたい。

 腕時計で時間を確認して、神長は有紗の手をとった。
「まだ時間も早いので、もう一軒くらいどこか寄って行きましょうか」

「どこでも、何時まででも。廉さんが一緒だったら」
「じゃあ朝まで? 泊まっていきますか、明日は休みでしょう」
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