365日のラブストーリー
 並んで自宅まで歩き始めたとき、家の門の外に有紗の両親が出てきた。
 母とは二ヶ月ほど前にランチで会ったが、父は久しぶりだ。なんだかずいぶん痩せたような気がする。

(まさか、わたしのことが心配すぎて細くなっちゃったとか……)
 とはいえ、まだメタボ診断でひっかかるレベルには違いないが、食べることが生きがいの父がどうしたのだろう。

 神長はまだ距離があるというのに、一度頭を下げた。向こうもそれに気がついたようで、会釈を返してきた。



 いつもは物だらけで雑然としているリビングは、今日はすっきりと片付いていた。お菓子の缶が半分を埋めつくしていたテーブルには、母のお気に入りのティーセットが並べられている。

 父は初めて『娘が連れてきた男』を落ち着かない様子でちらちらと睨み付けているが、神長は臆すことなく、品の良い笑みを浮かべている。
 神長が持参した手土産のお菓子を、母がさっそく出してきた。

 父はそれをかじった瞬間、感動に目を見開いたのだが、食べ終わるとまた厳格な雰囲気を取り繕おうとするから、顔の上半分と下半分が分離したような奇妙な表情になっている。

 有紗ははらはらしながらそんな様子を見守っていた。
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