365日のラブストーリー
「今日も遠くまでごめんなさいね。この子運転はだめだから大変でしょう」

 母が緊張した場に割って入った。それからぺらぺらと、有紗が免許を取ったばかりの時に買ってもらった新車を、ぶつけて廃車にしてしまったという、忘れてしまいたい過去を話し始めた。

「そんなことがあったんですか」
 神長は驚きをそのまま有紗に向けた。

「えっと。ドライブとバックのギアを間違えて、アクセルを踏んだら後ろをぶつけてしまって。慌てて思い切りブレーキを踏んだんですけれど、それがアクセルペダルだったみたいで、車のとどめに。家の敷地内だったのが救いでしたけれど」

 過去を白状して、有紗は笑顔を取り繕った。もちろん当時は、その事故が笑い話にはならなくて、苦労してとった免許を返納させられそうだった。

 わざわざ今日こんなことを言わなくてもいいのに、と母を恨めしく思っていると、
「神長さんは――」
 自己紹介の時に挨拶を交わしたきり、黙り込んできた父が急に口を開いた。

「ずいぶん良い車に乗っているようですけれど、ご両親がいくらか出されているんですか?」
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