365日のラブストーリー
 有紗の背中に汗が滲んできた。車自体の話ならともかく、突然お金の話をしたら神長に常識を疑われてしまう。

「いえ、学生の頃に仕事で貯めたお金があったので、それで買いました。大きすぎるかなと思ったのですが、友人を乗せることも多かったですし、アウトドア機材を積んでも車内が狭くならないので、気に入っています」

「大きい車もいいわよねえ。それにしても廉さんはえらいわね、有紗と年も変わらないのにお金のことまでちゃんと自立していて。有紗はまだ経済的に自立できているかって言うと。ねえ?」
 母から話を振られて有紗は頷くが、内心もやもやしていた。

 一人暮らしをするときに両親から懇願されて、セキュリティの高いマンションに住んでいる。そういう事情もあって家賃は親払いになっているが、収入に見合った場所に引っ越せば、自分の給料だけで暮らしていけるくらいの生活力はある。

 父とは対照的に母はにこやかだが、やっぱり何かが変だ。
 今度は大きく頷きながら聞いていた父が口を開いた。

「一流大学を出て、仕事でしっかりキャリアを積んでいて、見た目も芸能人みたいに華やかで、神長さんは女性からモテるでしょう」
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