365日のラブストーリー
 意地の悪い質問に、有紗は悲しくなってきた。神長は確かに自分には不釣り合いなほど高スペックな男性だ。けれども、そんな風に見た目やうわべの肩書きだけで、彼のことを判断してほしくない。数々の肩書きがどうでもよくなってしまうほど、誰に対しても深い愛情を持てる人なのだ。

 もういい加減にして、と叫びたい気持ちを抑えるように、有紗はテーブルの下で拳を握りしめていた。すると、神長の手が触れた。横並びで顔も見えないのに、気持ちを察している、ということを告げるように。

 これは彼も困り顔で謙遜するしかないだろう、有紗が申し訳ない気持ちでいっぱいになっていたが、神長は「ええ、そうですね」と涼しい顔で言ってのけた。それから「目的を持って大学や就職先を選んでいましたし、好きでこの顔をしているわけでもありませんけれど」と超然とした態度で反論した。

 父はティーカップを持ち上げる手を止めて、唖然と神長を見た。母も口をぽかんと開いたまま、彼を見つめている。
 神長は優しげな目を両親に向けたまま、唇にうっすらと笑みを浮かべている。
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