365日のラブストーリー
「人と深く関わることで、相手の良いところだけじゃなくて、自分の良いところもちゃんと見えるようになってくるもんだ」

(このまま流されてみなさいっていうことなのかな)

 宇美の話を聞いていると、恋愛というものは、人が大人になっていくために必要な、日常の一部のような気がしてくる。

 この人じゃなきゃ絶対にだめだ、と思える相手が居ないのなら、やっぱりこのまま付き合ってみた方が良いのかもしれない。

(きっと一緒にいるうちに、森住さんを好きになれるはず)

 これまでの社内での人間関係を思い出してもそうだった。知るほどにその人の良いところもたくさん見つかって、みんなのことを好きになっていく。きっと恋愛にもそれが当てはまるに違いない。

(やっぱり、ちょっと頑張ってみよう)

 まもなく注文の品が運ばれてきた。レタスの緑が鮮やかな有機野菜のサラダと、湯気の立つパスタの皿がテーブルに並ぶ。
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