365日のラブストーリー
 いろいろなフルーツの味がする、丸い氷菓を口いっぱいに含んだときのしあわせ。友達とも会えずに、ひたすら布団で寝ていなければならないときのそれは、最高の褒美になるはずだ。

(普段心暖ちゃんが食べそうなものを中心に三、四日分と。看病も気持ちが休まらないだろうから、今日のお昼は森住さんのために何か作ってあげたいなあ)

 作り置きできそうなものを考えながら、食材をカゴに入れていく。有紗は結局、休み休み歩かなくてはならないほど、食材を買い込んでしまった。

 マンションの入り口でメッセージを送ると、千晃が一階まで降りてきた。ジャストサイズのスウェットパンツにカットソー、上からシャツを羽織った定番のカジュアルスタイルだ。

「え、そんなに何買ってきたの」

 千晃は不思議そうに袋の中を覗き込み、有紗の両手から荷物をとる。あれほど重いと感じていたはずなのに、千晃にかかれば軽々だ。
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