365日のラブストーリー
「ありがとう、色々と。とりあえずどうぞ」
エレベーターに乗って三階まで上がった。通路を突き当たりまで進んで、千晃はビニール袋を下ろす。ポケットから鍵を取り出した。
「ここ、うち。覚えやすいと思う」
「あ、駅からマンションまでもバス通りまっすぐで、すごくわかりやすかったです!」
「そそ。住宅地で目印ないから、わかりやすい場所にした。まあ、俺が迷うわけじゃないけど。心暖がね。学校行くようになったら、友達と遊んだりいろいろあるだろうから」
「そうなんですね」
千晃は鍵をあけて、ドアノブに手を掛けた。けれどもなぜかその手を離して有紗に向き直る。
「家に入る前にちょっとだけ」
腰に手が回される。そのままぐいと引き寄せられて、千晃の肩にあごがぶつかった。
もしかしてこれは。キスかもしれないと身体を硬くしたが、何の進展もないままに、千晃がぼそりとつぶやいた。
「……だめだ」
「えっ」
「いや、なんでもない」
千晃の腕からはあっさりと解放されたが、意味深な言葉を耳もとに残っている。
エレベーターに乗って三階まで上がった。通路を突き当たりまで進んで、千晃はビニール袋を下ろす。ポケットから鍵を取り出した。
「ここ、うち。覚えやすいと思う」
「あ、駅からマンションまでもバス通りまっすぐで、すごくわかりやすかったです!」
「そそ。住宅地で目印ないから、わかりやすい場所にした。まあ、俺が迷うわけじゃないけど。心暖がね。学校行くようになったら、友達と遊んだりいろいろあるだろうから」
「そうなんですね」
千晃は鍵をあけて、ドアノブに手を掛けた。けれどもなぜかその手を離して有紗に向き直る。
「家に入る前にちょっとだけ」
腰に手が回される。そのままぐいと引き寄せられて、千晃の肩にあごがぶつかった。
もしかしてこれは。キスかもしれないと身体を硬くしたが、何の進展もないままに、千晃がぼそりとつぶやいた。
「……だめだ」
「えっ」
「いや、なんでもない」
千晃の腕からはあっさりと解放されたが、意味深な言葉を耳もとに残っている。