365日のラブストーリー
「だめですよ、絶対」有紗は振り返ることもできないまま、つぶやいた。
「なんで」
「だって……」
嫌われるかもしれない要素をすべて取り除きたいと思うのは、どうしてだろう。少しでも相手から良く思われたい。そう考えてしまうのは、千晃のことを意識し始めているからだろうか。いったいいつから? 有紗は自問した。
(やっぱり、あのキスからだ)
具体的に千晃の何が好きなのかと訊かれても、まだはっきりとは分からない。容姿でいえば優しげな雄っぽさを感じない顔立ちが好みだったはずだし、丁寧な話し方をする人の方が安心できる。強引な人よりも、相手主体に物事を考える人の方がわかり合える気がする。
それなのに、キスにはそういうものをすべて吹き飛ばしてしまうような、魔力でもあるのだろうか。
「有紗ちゃん」
声を掛けられて振り向いた。視線はいやでも千晃の唇に吸い寄せられる。その意味に気付いたのか、それとも偶然なのか、千晃が歩み寄ってきた。
「なんで」
「だって……」
嫌われるかもしれない要素をすべて取り除きたいと思うのは、どうしてだろう。少しでも相手から良く思われたい。そう考えてしまうのは、千晃のことを意識し始めているからだろうか。いったいいつから? 有紗は自問した。
(やっぱり、あのキスからだ)
具体的に千晃の何が好きなのかと訊かれても、まだはっきりとは分からない。容姿でいえば優しげな雄っぽさを感じない顔立ちが好みだったはずだし、丁寧な話し方をする人の方が安心できる。強引な人よりも、相手主体に物事を考える人の方がわかり合える気がする。
それなのに、キスにはそういうものをすべて吹き飛ばしてしまうような、魔力でもあるのだろうか。
「有紗ちゃん」
声を掛けられて振り向いた。視線はいやでも千晃の唇に吸い寄せられる。その意味に気付いたのか、それとも偶然なのか、千晃が歩み寄ってきた。