365日のラブストーリー
「ありだね、美味い。俺ほんと辛いの好きなのよ。青唐辛子かじれるくらいに。でもまあ心暖はこのまま甘党に育ちそうだけどなあ」

 千晃は遠い未来を思い描いたように、乾いた笑いを漏らした。

「で、飯食ったら何する?」
「なんでも、森住さんのやりたいことで」

 そもそも友人同士で家に集まっても、食事をしたあとはただ話をするばかりだったから、家でする遊びというものが思いつかない。

「俺のやりたいことはひとつしかないんだけど」
「あ、じゃあそれやりましょう! わたしも森住さんの好きなこと知りたいですし」

 歩み寄る姿勢を見せたつもりだったが、千晃は怪訝そうな顔をした。

「あのさ。なんとなく前から思ってはいたけど……、天然?」
「へ? わたしは全然天然なんかじゃ」

「じゃあ、しよっか」
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