365日のラブストーリー
嘘をついてもいずれバレる。有紗が頷くと、千晃は絶句した。

この年になって何の経験もない自分が情けなくなってきた。学生時代は学校や親から男女交際を厳しく言われてきたが、『初めて』を捧げられるのは男にとって面倒くさいだけで、がっかりポイントのひとつでしかないのだ。

「今度までにちゃんと勉強してきますから! だからもう少しだけ待ってもらえませんか」
「勉強するって、どうやって」千晃が眉をひそめた。

 きっとRenに訊けば教えてくれるはずだ。そうは思ったが、まさかAIアプリに訊くとも言えず、黙り込むしかなかった。

 その気も失せてしまったのか、千晃はため息をついて有紗の横に座り直した。

「俺さ、ぶっちゃけ今まで未開発の女とやったことないんだよね」
「そうなんですか」

「だから正直、どう扱えば良いのかわからないんだけど。処女って感じないんだっけ」
「……わかりません」
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