365日のラブストーリー
「綿貫」
突然肩に手がかかった。それが宇美だと気付いても、頭を動かすと気持ちが悪くなりそうで振り返ることもできずにいた。
「今日はもう帰りな。具合悪いんでしょう?」
「え、大丈夫ですよ」
元気です、と嘘はつけなかったが、普段よりも明るい声を出したつもりだった。けれども背中に落ちたのは宇美のため息だ。
「子どもがいる社員は『わたしが会社で風邪をもらったら、子どもにもうつってしまう』って考えたりもするよ? それに、青い顔してふらふらしてる綿貫を見てると、こっちも仕事に集中できなくなってくる」
そう言われてしまうともう、有紗には返す言葉もない。
「終わってない仕事は私が割り振っておくから、そのまま上がって」
最後は有無を言わせない強い口調だった。宇美からもう一度肩をとん、と叩かれる。「わかりました」とうなだれると、宇美は自席に戻って仕事に取りかかる。
突然肩に手がかかった。それが宇美だと気付いても、頭を動かすと気持ちが悪くなりそうで振り返ることもできずにいた。
「今日はもう帰りな。具合悪いんでしょう?」
「え、大丈夫ですよ」
元気です、と嘘はつけなかったが、普段よりも明るい声を出したつもりだった。けれども背中に落ちたのは宇美のため息だ。
「子どもがいる社員は『わたしが会社で風邪をもらったら、子どもにもうつってしまう』って考えたりもするよ? それに、青い顔してふらふらしてる綿貫を見てると、こっちも仕事に集中できなくなってくる」
そう言われてしまうともう、有紗には返す言葉もない。
「終わってない仕事は私が割り振っておくから、そのまま上がって」
最後は有無を言わせない強い口調だった。宇美からもう一度肩をとん、と叩かれる。「わかりました」とうなだれると、宇美は自席に戻って仕事に取りかかる。