ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
その日の放課後、委員会活動を終えたあたしは、ひとりでトボトボと下校していた。


時間はちょうど夕暮れ時で、いつもの商店街全体が、空から降るオレンジ色の光にきれいに染まっている。


一日の終わりを感じさせるその空気を、今日は一段とさびしく感じた。


ついこの前、雄太とふたりで帰った道。


あのときは雄太を好きでいることがただ幸せで、なにも考えずに横顔を見つめていられたのに。


この先もずっと、変わらない毎日が続くと信じていたのに。


どうすることがあたしと雄太にとっての一番なのか、わかんない。


どの道を選んでも行き止まりで、結局、あたしたちに明るい未来なんか待っていないような気がする。


雄太のことを好きでさえいられれば、それで満足なはずだったのに。どこでおかしくなってしまったんだろう。


舗装された道路に伸びる自分の黒い影が、力なくうつむいている。


この先の交差点の信号が変わる音楽が聞こえて、ふと顔を上げたあたしの足がビクリと止まった。
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