わたし、BL声優になりました
 自分でも大人気ないことは分かっていても、止めることは出来なかった。

「いや、出ていく必要はないよ。むしろ、ここに居てもらえると、僕は嬉しい」

「は? 意味が分からないんですが」

「まぁまぁー。あ、そうだ。珈琲でも飲む? 赤坂くん、お願いしてもいいかな」

 田中社長の隣に待機していた赤坂は、素早く次の行動に移した。
 
「はい。承知しました」

 そういえば、あの時以来だ。赤坂の姿をまともに見たのは。

 以前は多忙を極めていたせいか、頬が少し痩けていたように見えたが、どうやらいつもの赤坂に戻ったようだ。

 違うところといえば、トレードマークだった赤眼鏡を、銀縁のシンプルな眼鏡に変えていた。

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