羊かぶり☆ベイベー



「え……?」

「何かあったら、何だって相談してよって、私言ってたのに」



汐里のやや厳しめの口調と、確かに言われた台詞とが相まって、言葉の裏にある彼女の気持ちが見えた気がした。

それが、胸に刺さる。

きっと、汐里はここ最近、落ち込んでいた私に、ちゃんと気付いてくれていたのに。



「あ、ごめ……」

「分からなくなるほど、悩んでたなら、そうなる前にちゃんと言ってほしかった」



私にとっては意味のある謝罪も、汐里からすれば、無意味なんだろう。

容易に遮られてしまった。

でも、今の私に言えることなんて、このくらいしか思い浮かばない。

そしてお互い、無言になってしまった私たちは、気まずくなり、うつ向く。

何だか私、いろんな人と気まずい雰囲気になってしまっている。

その気まずくなるまでの過程は、相手を無視した、ほとんどが勝手な自己嫌悪。

だいたい私が原因で、自業自得だと分かっている。

そう気付けたからこそ。

こんなにも、想ってくれる人が居たのに。

──こんなことばかり続けていたら、私いつか本当に1人になってしまう。

今一度、顔を上げても、汐里はうつ向いたままだ。

傷付けてしまった。

心が傷んだ。



「ごめんね」



私の声に汐里が反応してくれた。

性懲りもなく、謝ることしか思い付かない。

それでも、汐里と出来る限り、いつまでも良い関係で居たくて。

繋ぎ止めたくて。

何もしないよりは、一度駄目だった方法だとしても、足掻いた方が良いと思った。



< 177 / 252 >

この作品をシェア

pagetop