羊かぶり☆ベイベー
「汐里。ずっと言わずに居て、ごめん。いつも、汐里と居ると楽しくて、楽しませてくれるから──」
「そんなの、私だって、そうだよ」
「……ありがとう」
「うん」
顔を上げた汐里は、ちゃんと私に向き合ってくれている。
まだ笑顔は戻らない。
だからこそ真剣に、私とのことを考えてくれている証拠なんだと思える。
「だから、私からも、汐里と居るときには、明るい話題を出したいんだけど。だけど……私、彼のことになると、ウジウジしちゃうから、悪い方向にしか進んでないのが現状で。悩んでることしか話せないと思って」
「だからさぁ。みさおは、そういうところがお馬鹿だと、私は言いたいんです」
「う……」
「みさおにとって、私は楽しい時間を過ごすだけの、夢の国のスタッフか何かなの?」
「え……」
「私たちって、表面上だけのお付き合いなの?」
「そんな訳ないよ……!」
思わず、椅子からお尻が浮くほどの勢いで言い返す。
すると、汐里がにんまりと笑った。
「まさか、みさおがそこまで感情的になってくれるなんて。その反応が見れただけで、私、満足かも」
「本当に、私はそんなつもりで一緒に居ないもん……」
「分かってるよ。でも、そう思ってくれてるのなら、これからは、ちゃんと、みさおの抱えてる暗い部分も教えて。楽しいことはもちろん、辛いことも一緒に語り合おうよ。もっと、たくさん」
ああ、本当に私って、大馬鹿者だった。
私だって、汐里の落ち込んでいるときには、心配になって、いろんなことを根掘り葉掘り聞きたくなる。
変に気を遣うどころか、こんなにも身近に、私の心を軽くしてくれるカウンセラーが居た。