羊かぶり☆ベイベー
「何でも言って」と心配してくれた汐里よりも先に、私は吾妻さんに相談を持ち掛けてしまった。
それを知ったら、なんと言われてしまうだろう。
「あの、実はね……」
「もしかして、まだ何かあるの?」
「彼との、この話、他にも1人相談してたの……」
今、私の表情は固いだろう。
動悸がしてくる。
汐里は目を見開いて、こちらをじっと見つめている。
ついさっきまで良い雰囲気で、話がつきそうだったのに、気まずい雰囲気に戻ってしまった。
「へぇ……それは、誰? みさおに彼氏が居るって知ってる人って、限られてるよね」
失礼かもしれないが、真剣に返してくる汐里が、少し怖い。
怒っている訳ではないのだと思うけれど。
「私の知ってる人?」
「大分前、この食堂で女の子たちに囲まれてた男の人、覚えてる……?」
「男の人……」
「汐里が『イケメン』って言ってた──」
「ああ!」
私の与えたヒントに、反射的に汐里は前のめりで反応する。
「思い出した! 何だっけ。確か『行きつけのお店で出会った人』だっけ?」
「う、うん。そう」
まさかの記憶力に驚かされる。
私が苦笑いをしていると、汐里は真面目な顔で私に問い掛けた。
「その人、大丈夫なの?」
「あ……」