羊かぶり☆ベイベー
「なんか、あんまり良い印象もってなかったでしょ」
そこまで覚えられているとは、お見それ致しました、と言う他ない。
確かに、初めて吾妻さんと会ったとき、嫌な人だ、という印象だったことを汐里に話している。
「うん。最初はね」
「あのね、みさお。みさおは今回、初彼氏で恋愛事に疎いかもしれないけど。彼の悩みを男に相談するのは止めた方が良いよ」
「でも、あの人は……」
「快く相談に乗ってくれてるわけでしょ?」
「それは、まぁ……」
「相手は頼られて信用されてるって思ったら、調子に乗って、変な気を起こす可能性だって、ゼロじゃないからね?」
変な気を起こす可能性。
思わず、社員旅行のあの夜が頭を過る。
異常な程、近い吾妻さんの吐息と、私の中に響いた低い声が鮮明に蘇った。
私、模範解答みたいなことしてる。
顔が熱くなった。
汐里には、絶対に覚られたくないのに。
彼女の様子を窺うのに、一瞥してみると彼女は唖然としていた。
既に、手遅れかもしれない。
すると、彼女が言う。
「嘘……でしょ?もしかして、既に手遅れ?! 大丈夫? 酷いこととかされてない……?」
「そ、それは大丈夫」