自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
全くわからないと言いたげに眉を寄せる彼を見て、セシリアは小さなため息を漏らす。
(言わなければ伝わらないものよね。だから、私の気持ちを少しも理解してくれなくても責めることはできないわ。悪いのは、お父様にこの結婚が嫌だと、まがままを言えない私の方なのよ……)
疑問を与えて、それに答えずにいれば、クロードはモヤモヤとした気分を引きずることだろう。
それは申し訳ないと思い、セシリアは悪巧みしていたことを打ち明けようとする。
けれども恋する彼に、面と向かっては白状しにくいので、背を向けて祭壇へと足を進めた。
司教のいない説教台の前で足を止めた彼女は、なにもかもを諦めたような気持ちで、十字架に向けて罪を告白する。
「本当はわたくし、人助けをするつもりはなかったんです。縁談を壊したくて、悪役令嬢だと噂されるように、人に迷惑をかけようとしていました……」
庭師ジャルダンの件では、彼が庭師生命を賭けて品評会に臨んでいたという事情は知らなかったし、庭を壊して困らせようという意図しか持っていなかった。
ジャルダンの窮地を救ってしまったのは、なにもかも偶然である。
靴屋の親子についても、後継息子にやる気を取り戻させるという狙いはなく、ただ理不尽な作り直しを何度も命じて、意地悪をしたかっただけなのだ。
(言わなければ伝わらないものよね。だから、私の気持ちを少しも理解してくれなくても責めることはできないわ。悪いのは、お父様にこの結婚が嫌だと、まがままを言えない私の方なのよ……)
疑問を与えて、それに答えずにいれば、クロードはモヤモヤとした気分を引きずることだろう。
それは申し訳ないと思い、セシリアは悪巧みしていたことを打ち明けようとする。
けれども恋する彼に、面と向かっては白状しにくいので、背を向けて祭壇へと足を進めた。
司教のいない説教台の前で足を止めた彼女は、なにもかもを諦めたような気持ちで、十字架に向けて罪を告白する。
「本当はわたくし、人助けをするつもりはなかったんです。縁談を壊したくて、悪役令嬢だと噂されるように、人に迷惑をかけようとしていました……」
庭師ジャルダンの件では、彼が庭師生命を賭けて品評会に臨んでいたという事情は知らなかったし、庭を壊して困らせようという意図しか持っていなかった。
ジャルダンの窮地を救ってしまったのは、なにもかも偶然である。
靴屋の親子についても、後継息子にやる気を取り戻させるという狙いはなく、ただ理不尽な作り直しを何度も命じて、意地悪をしたかっただけなのだ。