自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
「ツルリー、手を放して。大人しく肖像画を私に飾らせて」

「いやよ、カメリー。これをベッドの横に飾ったら、毎朝目覚めるたびに、セシリア様が落ち込んでしまうじゃない」


部屋の中央で睨み合っているのは、セシリアの侍女を務める双子の姉妹、ツルリーとカメリー、十八歳である。

ふたりは、王国一のご長寿で名を馳せるコトブキン男爵のひ孫で、二年前から王城に住み込みで働いている。


彼女たちは、そっくりな容姿をしており、見分けるポイントと言えば、髪型であろうか。

肩までの赤茶の髪を内巻きにカールして、頭のてっぺんに大きなリボンを飾っているのが、姉のツルリー。

同じ色と長さの髪を、まっすぐに伸ばし、右サイドをヘアピンで留めているのが、妹のカメリーだ。

他に見分けがつきそうなところを、しいて挙げるとすれば、クリッと愛嬌のある瞳をしているツルリーに対し、カメリーの二重は若干、幅が狭く、クールな印象であることくらいだろう。


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