自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
そのように、そっくりな侍女たちは今、一枚の肖像画を左右から引っ張り合い、お互いに手を放すようにと言い争っていた。
その肖像画とは、先ほどの応接室でカナール王国の使者に渡された、サルセル王太子の肖像画である。
「また喧嘩なの? やめてちょうだい。一体どうしたというのよ」
駆け寄って仲裁に入ったセシリアが、わけを尋ねれば、侍女たちがいったん手を止めて、交互に説明する。
「国王陛下が、肖像画をこの部屋に飾るようにと仰ったので」
「カメリーが、ベッドの横の壁に飾ろうとして」
「ツルリーに邪魔されたんです」
「邪魔とはなによ! セシリア様のお気持ちを考えれば、飾らせるわけにいかないわよ!」
彼女たちが喧嘩をするのは、日常茶飯事である。
初対面の者には見分けがつかないほどによく似た容姿をしていても、性格が真逆であるため、意見が衝突してしまうのだ。
その肖像画とは、先ほどの応接室でカナール王国の使者に渡された、サルセル王太子の肖像画である。
「また喧嘩なの? やめてちょうだい。一体どうしたというのよ」
駆け寄って仲裁に入ったセシリアが、わけを尋ねれば、侍女たちがいったん手を止めて、交互に説明する。
「国王陛下が、肖像画をこの部屋に飾るようにと仰ったので」
「カメリーが、ベッドの横の壁に飾ろうとして」
「ツルリーに邪魔されたんです」
「邪魔とはなによ! セシリア様のお気持ちを考えれば、飾らせるわけにいかないわよ!」
彼女たちが喧嘩をするのは、日常茶飯事である。
初対面の者には見分けがつかないほどによく似た容姿をしていても、性格が真逆であるため、意見が衝突してしまうのだ。