自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
ツルリーは、素敵な男性に目がなく、恋愛話が大好きで、いつも明るくキャアキャアと騒がしい。

セシリアがクロードに恋をしていることも、侍女勤めを始めてすぐに見破り、それ以来、全力応援態勢である。

『騎士団長は今、馬場で訓練中です!』などと、クロードの居場所を調べては、逐一セシリアに報告してくれた。


対して妹のカメリーは、真面目で堅物、現実思考の持ち主である。

サルセル王太子からの求婚状が届いた時、ショックを受けていたセシリアに、カメリーはこう言ったのだ。


『恋などというものは所詮、妄想にすぎません。これを機に騎士団長への想いをスッパリと断ち切って、花嫁修行に励んでください。サルセル王太子のもとに嫁げば、一生、安泰です』


セシリアの恋を応援してくれるツルリーと、諦めて現実を見るように諭してくれるカメリー。

正反対のことを言う双子だが、どちらも王女のためにと考えてくれているのは、しっかりとセシリアに伝わっていた。



双子の侍女は、肖像画の引っ張り合いと口喧嘩を再開させる。


「ツルリー、そんなに引っ張ると肖像画が壊れるわよ」

「こんなもの、壊れたって構わないわ!」

「セシリア様のお相手であり、一国の王太子に対して失礼な言い方ね」

「あら、カメリーだって、本当はそう思ってるんでしょ? 私が鴨に似ていると言ったら、頷いていたじゃない」
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