自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
(鴨……?)
ツルリーの指摘にセシリアは首を傾げ、改めて肖像画をじっくりと見た。
サルセル王太子は、容姿端麗とまでは言えないが、決して見劣りすることのない、整った顔立ちをしている。
つぶらな瞳は黒目の割合が大きく、頭は小さめで、首が少々長めであることが特徴だろうか。
艶やかに光沢のある深緑色の上衣に、薄茶色のズボンを身につけ、足首までの長さのブーツはなんの革を使用しているのか、やけに黄味がかっている。
背景はどこかの池のような水辺であり、睡蓮の花やアーチ型の橋が描かれていた。
(そう言われたら、雄鴨に似ていてるかも……)
失礼にもそう思ってしまったら、もう笑わずにいられない。
プッと吹き出したセシリアが、明るい笑い声をあげれば、双子の侍女はキョトンとして喧嘩をやめた。
セシリアは両腕を広げてふたりに抱きつくと、目に涙を滲ませて、なおも笑いながら、心からのお礼を言う。
「状況が変わったわけじゃないけど、気持ちが少し楽になったわ。ツルリーとカメリーのおかげね。ふたりとも、大好きよ!」
すると、つられたように双子の侍女も笑い出し、楽しげな空気が部屋を満たしたが、それはノックの音に邪魔される。
ツルリーの指摘にセシリアは首を傾げ、改めて肖像画をじっくりと見た。
サルセル王太子は、容姿端麗とまでは言えないが、決して見劣りすることのない、整った顔立ちをしている。
つぶらな瞳は黒目の割合が大きく、頭は小さめで、首が少々長めであることが特徴だろうか。
艶やかに光沢のある深緑色の上衣に、薄茶色のズボンを身につけ、足首までの長さのブーツはなんの革を使用しているのか、やけに黄味がかっている。
背景はどこかの池のような水辺であり、睡蓮の花やアーチ型の橋が描かれていた。
(そう言われたら、雄鴨に似ていてるかも……)
失礼にもそう思ってしまったら、もう笑わずにいられない。
プッと吹き出したセシリアが、明るい笑い声をあげれば、双子の侍女はキョトンとして喧嘩をやめた。
セシリアは両腕を広げてふたりに抱きつくと、目に涙を滲ませて、なおも笑いながら、心からのお礼を言う。
「状況が変わったわけじゃないけど、気持ちが少し楽になったわ。ツルリーとカメリーのおかげね。ふたりとも、大好きよ!」
すると、つられたように双子の侍女も笑い出し、楽しげな空気が部屋を満たしたが、それはノックの音に邪魔される。