初めまして、大好きな人
「夢の国だぁ!」
「おいおい、急に子どもみたいにはしゃぐなぁ。
ま、それでこそ十七歳だけどね」
「むぅ。いいじゃんはしゃいだって。
ね、どれから乗る?」
私は尚央の手を引いて歩いた。
遊園地なんて小学生ぶり。
久しぶりの遊園地に目を輝かせて、
私は珍しくはしゃいでいた。
「あれ乗ろう、あれ」
「えー。回転系は酔っちゃうんだよなぁ」
「じゃああれは?」
「絶叫系は心臓に悪いし」
「……じゃああれ」
「高いとこは苦手なんだよなぁ」
「……尚央、なんで遊園地に来たの?」
じとっと尚央を睨みつける私。
尚央は口笛を吹いて目をそらした。
この男、完璧だと思ったけど
こんなとこに落とし穴があったな?
「いいから乗るよ!最初はジェットコースターね」
「えっ、ちょっ、まっ……」
「いいからいいから」
ジェットコースターの長い列に二人で並ぶと、
尚央は不機嫌そうに口を堅く閉ざしてそっぽを向いていた。
何よ。そんなに面倒なの?
嫌なら遊園地なんか誘わなきゃいいのに。
つられて私も頬を膨らませる。
これじゃあ二人で来た意味がない。
楽しみたいのに、楽しめないじゃん……。
列はどんどん短くなっていって、
私たちの番になった。
ジェットコースターって、
一番後ろが一番怖いんだってね。
前の列の分の重力がかかるとかで、
恐怖心が煽られるのは後ろなんだって。
そんなことを思い返していると、
私たちはなんと綺麗に最後列。
安全バーを下ろしている時に尚央を見てみると、
尚央は青ざめて口を真一文字に結んでいた。
「間もなく発車します。行ってらっしゃい」
女性スタッフの陽気な声が聞こえて、
ジェットコースターは動き出す。
ぐんぐん進んで、どんどん坂を上っていく。
私は思い切って尚央に話しかけてみた。
「ねえ、尚央。もしかして尚央、
本当にこういう絶叫系って苦……」
「ぎゃあああああ!」