初めまして、大好きな人



一気に急降下する私たち。
ジェットコースターは上に下に上り下りする。


横を見ると尚央が必死になって叫んでいた。
目を閉じたりはしないんだね。


それにしてもびっくり。
尚央は本当にジェットコースターが苦手だったとは。



不機嫌だったんじゃなくて、怖かっただけなんだと知ると
可愛く思えてくる。


思う存分楽しめるぞ!


私は手を上げて叫びながらジェットコースターを楽しんだ。



ゆっくりと減速していき、
女性スタッフのいるスタート地点まで戻ってくる。


尚央は顔を覆って肩で息をしていた。


面白くなって、尚央の背中に手を当てる。


「尚央、苦手だったんだね」


憐みの声でそう言うと、
尚央は私の方を見た。


一瞬真剣な顔で見つめられる。


見たことのない顔にドキリとした。


固まって動けなくなっていると、
尚央は私の頭をわしゃわしゃと撫でた。


「見てろよ。仕返ししてやる」


「なによー!髪の毛ボサボサじゃない」


「それくらいがちょうどいいよ」


「なにそれ」



「別にー」


二人でジェットコースターを降りると、
今度は回転する気球の乗り物に乗った。


尚央は回転系はダメだと言ったけれど
あれは冗談だったみたいで、
私が乗りたいと言うと快く承諾してくれて、
これも楽しく乗れた。


回っていく景色が綺麗で、最高だった。


高いところもダメだと言った尚央。
それも冗談だったようでむしろ高いところは好きみたいだった。


へぇ、すげぇなと感心しながら
乗り物を楽しんでいるみたいだった。


次の乗り物に向かって進んでいると、
尚央が急に立ち止まるものだから、
引っ張られてつい倒れそうになる。


尚央を見てみると、にやりと不敵な笑みを見せた。


「波留。あれ行くぞ」


「えっ、それは……」


「仕返しだ。百倍にして返してやる」


「ええー!やだ!」


「嫌じゃない。行くぞ」


「尚央の鬼~!」


「はいはい」



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