初めまして、大好きな人



「俺が、絶対にお前を幸せにして見せる。
 お前が忘れてしまっても俺が絶対に忘れない。
 必ずお前に思い出させるから。
 そうしたら何もかもうまくいくんだよ」


「でも、それじゃあ私、怖いよ。
 ノートがなきゃ、いつか尚央のことまで忘れちゃう。
 好きっていう感情も、なくなってしまう。
 そうしたら私、怖いよ」


「大丈夫だ。俺が何度だって好きにさせる。
 そういう男になる。
 絶対に波留を泣かせたりしないし、
 何度だって思い出させてみせる。
 俺を信じてくれ、波留」


尚央は立ち上がって私の手を握った。


ひんやりと冷たくて、気持ちが良かった。


「波留。俺のことが好きか?」


「分かんない。分かんないけどでも、
 真理愛さんが尚央のことを好きだって聞いて少しモヤモヤした。
 取らないでって思った。
 尚央に見つめられるとドキドキするし、
 尚央と一緒にいるのは楽しいし。

 だけどでも、ほぼ初対面なのにそういう感情になるなんておかしいでしょ?
 だから私……」


「じゃあ、嫌いか?」


そう問われて、はっとする。


嫌い?そんなわけないじゃない。
むしろ私は尚央のことが好……。







「好、き……」








そう呟いていて、思わず口に手を当てた。


単純に考えると、そうなんだ。


ほぼ初対面。
それは変わらない。
だけど、私は尚央が好きだ。


好きなんだ。


心臓がドクンと跳ねる。
頬が紅潮する。
尚央の目が、更に真剣になる。







「波留。俺の彼女になってください」







「……私で、いいの?」










「波留がいいんだよ」









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