初めまして、大好きな人
「あの……」
「波留。俺だよ、尚央だ。分かるか?」
とても格好良くて、すらっとした人。
そして何より、服が……。
「な、お?」
「そうだよ。尚央だ」
ポロリと、頬を涙が伝った。
ああ、尚央。間違いない。尚央だ。
日記に書いてある通りすごく格好良くて、
優しそうな人だった。
本当にいた。実在した。
尚央は私に、会いに来てくれたの?
「大学の講義でバタバタしてて。
急いでヴァポーレに行ったけど波留がいなくて、
慌ててここかもって思って来たんだ。ごめんな」
尚央は、ちゃんと私に会いに来ていたんだね。
それを私は、なんて浅ましいんだろう。
自分勝手に尚央を罵って、信じようとしないなんて。
「ごめん、なさい」
「波留?どうした?」
私はそっと、尚央の濡れた頬に触れた。
尚央は一瞬びくっとしたけれど、すぐに元に戻って、それから笑った。
私の触れている手を優しく握りしめる。
私の目から、ポロポロと涙がこぼれた。
「ごめんなさい。信じなくてごめんなさい。
嫌いなんて言って、ごめんなさい。
私、私は尚央が……」
ドクンと、心臓が鳴った。
私は、何?今何を思ったの?
まさか、私は尚央のことが。
「波留。いいんだよ。俺が悪いんだから。
その感情は間違いじゃない。
でも、嫌いが本当だったら、おじさん傷つくなぁ」
ははっと笑う尚央の頬に触れて、
ぶんぶんと首を横に振った。
「違う。嫌いなんかじゃない。
ちゃんと好きだよ。私、私……」
「うん。ありがとう。波留はいい子だね。
俺は嬉しいよ」