恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
梓はまばたきを激しくさせて、一樹を見つめ返す。
「キミ、俺の恋人にならないか?」
一樹が突飛なことを言いだしたものだから、梓は目が点。
「……今、なんとおっしゃいましたか?」
鯉かと見紛うほどに口をパクパクさせながら聞き返す。
「悠長にしてはいられない。今すぐ俺の恋人になってくれ」
「ど、どどうしてですか!?」
梓は一樹を知っているが、一樹が梓を知ったのはほんの数分前。なにがどうなったら、恋人になれなどと言えるのか。
梓が混乱して目を白黒させていると、
「あ、いや、言い方がまずかったな」
一樹が目線を斜めに投げかけ、自分の顎の下を撫でる。