恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
恥ずかしさから、絡めていた手を離して口もとを抑えると、
「かわいい声だ。我慢する必要はない」
囁いた一樹は、梓の手をもう一度優しくソファに縫い留めるようにした。
これから訪れるであろう〝事態〟は、もはや避けられないと思えた。
「あの、一樹さん、私こういうことは初めてで……」
「わかってる。梓はなにも心配しなくていい。俺に全部預けろ」
一樹にすべてをゆだねる。それだけでいい。
心強い言葉に小さく頷く。
一樹はふっと笑みを漏らし、梓の唇を再び塞いだ。