恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
言い終わらないうちに梓の視界が反転する。一樹にソファへ押し倒された。
「もう我慢の限界。梓のすべてを手に入れるまで今夜は離してやれない」
痺れるくらいに熱い一樹の視線が梓をしっとりと見下ろす。
「……手に入れたら、それでおしまいなんですか?」
「そんなわけがないだろ。ずっと離すもんか」
降りてきた唇が、不安を拭い去れなかった梓の唇を塞いだ。
梓の胸にあった、いずれは離れなければならないという寂しさが、一樹のキスでみるみるうちに小さくなっていく。
それと入れ替わるようにして胸に溢れたのは、一樹への想いだった。
(一樹さんのことが大好き)
その想いを込めて、一樹のキスに懸命に応える。
万歳するような格好でつないだ手に力が入った。
なにも考えられず、ただ一樹を感じるだけ。
唇から移動した一樹の唇が、額や頬、瞼にもキスを落としていく。
耳たぶを軽く食まれ、梓は自分でも信じられないほどの甘い声を漏らした。