恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

「それじゃ、どこならいい?」
「それは……」


梓の目が忙しなく泳ぐ。どこだと答えればいいのか、真剣に悩んでいるようだ。
その様子があまりにかわいすぎて、一樹は思わず口づけた。


「か、一樹さん、なにをなさるんですか! ダメですよ……!」
「愛しい恋人にキスしたらダメな法律でもあったか?」


〝愛しい〟に反応したのか、梓の顔が一気に真っ赤になる。耳までゆでだこ状態だ。
そんな初心なところが、たまらなく愛しい。


「そんな法律はないと思いますが、クレアストの服務規律にはあります。社内風紀を乱してはならないって」


なるほど。服務規律を持ち出してきたか。
一樹はムキになる梓がおかしくなり、ついプッと噴き出した。


「……どうして笑うんですか? 本当にあるんですよ? 一樹さん、クレアストの社長なのにご存知ないんですか?」
「それじゃ、社長の一存でその規律はたった今から無効とする」

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