恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「そこで梓さんに僕から提案があります」
なにかいい解決策を示してくれるというのか。
梓は思わずテーブルに身を乗り出した。
「梓さんが僕と結婚を前提にお付き合いしてくださるというのであれば、商業ビルの話はなしにしてもいいです」
「……はい?」
梓は目を瞬かせて聞き返す。
「ですから、梓さんが僕との結婚を決意されれば、この話は僕が責任をもってつぶします」
梓と引き換えにするという。テーブルの上で手を組みなおし、遠藤はニッと笑った。とても嫌な笑みだった。
初めて会ったときに遠藤に対して抱いた誠実さは、微塵も感じられない。
(一樹さんと別れて、遠藤さんと結婚しろって言うの……?)
とんでもない提案だった。
「そんなことはできません」
一樹と別れるなど、梓がどうしてできようか。
きっぱりと言い切った。