恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
◇◇◇
一樹は、最悪な朝を迎えていた。
激しい頭痛に襲われながら目をこじ開けたところで、自分がソファにうつ伏せでいたことに気づく。両手足はアイアンを巻きつけられたように重い。
その状態のままぐるりと視線だけ動かしてみれば、梓と泊まるつもりだったスイートルームには空になったワインボトルが無残に転がっていた。
(無様だな……)
あまりの自分の惨状に、乾いた笑いが込み上げてくる。その笑い声が広い室内に響き、ひとりを実感する。
ソファの一部と化したような身体をなんとか反転させ、一樹は仰向けになった。
片方の腕で両目を覆い、頭痛をやり過ごす。胸の奥から絞り出すようにして息を吐くと、魂まで抜けていく感覚がした。
(いや、いっそ抜けてしまった方がいいのかもしれないな)
梓に突然の別れ話をされたのは、昨夜のこと。
ラウンジで会ってすぐ、思いつめたような顔に気づいたが、まさかそんな話が待っていると一樹は思いもしなかった。
別れの経験がないわけじゃない。これまでにも女性から切り出されたことは何度かある。