恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「はいはい。でも、おばあちゃんの夢も少しは理解しておくれよ」
多香子の伸ばした手が梓の腕に触れる。
「梓の結婚が、今のおばあちゃんの唯一の望みなんだよ。あとはもうなにもいらない」
優しく腕をさする多香子の手に、梓は自分の手を重ねた。
多香子の夢を叶えたいのはやまやま。でも、こればかりは梓ひとりではどうにもならない。
そのもどかしさが梓の胸をきゅっとさせる。
「努力はするけど、あんまり期待されると困るな」
眉尻を下げた梓に、多香子はそっと微笑んだ。