恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
そう思い、梓が真剣な表情で一樹を見ると、「おっと、やっぱり来たな」と目を鋭くさせてルームミラーを睨んだ。
(来たってなにが?)
梓がそう思った矢先、車が発進する。
「今夜はデートだ」
「はい!?」
「だから、デート。婚約者なんだ。デートくらいしておかないと」
メールの用件はデートのお誘いだったわけだ。
「三島さん、まだ疑ってるんですか?」
ふたりでひと晩過ごしただけでは納得しないのだろうか。
「ああ。三島をそう簡単に欺けるとは思ってもいなかったが、アイツもなかなか粘着質だな」
そう言いながら、一樹は再びルームミラーをチラッと見やる。
「どこまで尾行するつもりなんだよ」
「……尾行?」
「三島だ」