恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「そういえば三島さんは?」
「後ろについてきてる」
横顔を見上げて梓が尋ねると、一樹は耳に口を近づけてこそっと囁いた。しかも、唇が軽く触れた気がする。
友里恵に聞こえないようにするためだとわかっていても、梓の心臓はドクンと跳ねた。
乗り込んだ一樹の車は、ホテルの地下駐車場から夜の街に走り出た。
時刻は九時ちょうど。三時間近くも一樹とラウンジにいたことを知り、梓は驚いた。
そんなに経った感覚がなかったのだ。思えば、男性とふたりで数時間を過ごしたのも、お酒を飲んだのも初めてだ。
(これからどこへ行くんだろうな……。三島さんはまだ追ってきてるのかな……)
そんなことをぼんやりと考えながらシートに身体を預けていると、車はコンビニの駐車場に入った。
「ちょっと待ってて」
そう言い残し、一樹が店内に入っていく。
トイレにでも行ったのかなと梓が考えているうちに戻った一樹は、ミネラルウォーターのペットボトルを手にしていた。