恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
この店にふさわしく気品に満ち溢れていて、梓は引け目を感じる。
そのパンプスは目の覚めるような赤で、アッパーからバンプにかけてメッシュ素材で出来ている。グログランの縁どりも施され、同じメッシュ素材でかたどられた花のアクセントがかわいらしい。
ただし、難点がひとつだけある。
「そのヒールは高すぎます」
ハイヒールだったのだ。
「そうか?」
「七センチのヒールですから、そこまで高いというほどではございませんが」
一樹とスタッフに揃って言われ、タジタジになる。
「私、ハイヒールを履いたことがないんです」
「なんで?」
「なんでって……。身長が高いからです」
察してよと思いながら、ぼそぼそと答えた。
「高い? まぁたしかに小柄ではないけど。とにかくちょっと履いてみて」
「ですが……!」