恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
なにかにいら立っているのか、それともおもしろがっているのか。
その仕草と顔では、梓には判断がつかない。
ポカンとしているうちに一樹に引き寄せられたかと思えば、素早く唇を奪われた。
「んっ……!?」
驚いて梓の唇の端から声が漏れる。不意打ちだったため、ドキッとする隙すらなかった。
(どうして!? 私、社長とも呼んでないし、バカ丁寧な言葉づかいだってしてないのに……?)
梓をすぐに解放した一樹が、「反則だぞ」といたずらに目を細める。
それを言うなら、一樹の方こそ反則ではないのか。
「……私、ペナルティを科されるようなことをなにか言いましたか?」
梓の見解では、なにもないように思える。
「わからない方が罪だな」
一樹の言うことが梓には理解できない。
(わからないのが罪って、なに? 考えていることがさっぱりわからないよ)
一樹は梓の髪を撫で、魅惑的な笑顔を浮かべた。