恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

再び一樹の運転する車に乗せられた梓は、キスの余韻をまだ引きずっていた。

何度思い返してみても、ペナルティとなるような言葉を使っていないのだ。それなのにどうしてキスをされたのかがわからない。


「なんか小腹が減ったな」


運転席でポツリと呟いた一樹のひと言が、梓をハッとさせる。


「ごめんなさい! 私がほとんどひとりでポップコーンを食べてしまったから」


映画開始直後から機械仕掛けのように止まりもせずポリポリとつまみ、あっという間に空に。一樹の手が伸びてきたのは数えるほどだ。


「いや、それはべつにいいから。やけにおいしく食べるなーと思ったくらいだよ」


一樹にクスクスと笑われ決まりが悪い。なんて食いしん坊な女だと思っただろう。

(――あ、そうだ。たしかあれがあったはず)

そこで梓はバッグに入れておいたものの存在を思い出した。中を覗き込み、手を入れる。

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