恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

(あったわ!)

目的のものを見つけ、一樹に「よかったらどうぞ」と差し出す。
一樹はチラッとだけ目を向けたかと思えば、もう一度見た。いわゆる二度見だ。


「それなに?」
「酢昆布です」
「なんか意外なものが出てきたな」


一樹にそう言われ、梓は絵梨に言われたひと言を思い出した。
好みが渋すぎるとか、女子のキラキラした感じがないとか。さらには、こういうときに出すべきなのは、一粒チョコとかかわいい包み紙のアメだと。


「ごめんなさい。今のは見なかったことにしてください」
「なんで?」
「いえ、なんだかババくさい食べ物だなって」


本音ではそうは思わないが、絵梨が言うのだからそうなのだろう。
でも、このおいしさがわからないなんて、損な人生を送っているとつくづく思う。

一樹は笑いながら、梓の方へさらに手を突き出した。

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