堅物社長にグイグイ迫られてます
「――はい。御子柴です」

スマホを耳にあてると、御子柴さんは何事もなかったように私の横を通り過ぎようとした。けれどふいに立ち止まり、スマホを耳から外しいったん電話を中断させて私を振り返る。

「百瀬。明日は少し早く仕事を切り上げて俺に付き合え。いいな?」

それだけを素早く告げると、御子柴さんは再びスマホを耳にあてて電話を再開させる。そして寝室の扉を開けると中に入ってしまった。

その場にポツンと取り残された私は茫然とただ立ち尽くしていた。

御子柴さんに抱き締められていたときの熱が私の体にはまだ残っている。

そういえば御子柴さんは私に何を言おうとしていたんだろう。電話がかかってきたので途中までしか聞くことができなかったけれど。続きがとても気になる。

それに、明日は仕事を早く切り上げろと言っていたけれど、いったいどこへ付き合わされるんだろう。


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