堅物社長にグイグイ迫られてます
さっと素早く私から視線をそらさすと「頼むからやめろその顔」とぼそぼそ呟きながら手で口元を覆うようにして顔半分を隠してしまった。

その仕草に、ん?と私の眉間に皺がよる。やめろその顔、と言われてもこういう顔なんだから仕方がない。

普段から仕事でミスばかりしているせいで御子柴さんの私への評価が低いことは知っていたけれど、まさか顔の評価まで低かったとは。

まぁ自分が美人だとは思っていないけど、笑顔を向けてやめろと視線をそらされるほど見られない顔でもないと思う。

せっかく感謝の言葉を口にしたのに失礼なことを言われてしまい軽くショックを受けて私も御子柴さんからぷいと視線をそらした。

そのあとも御子柴さんに話し掛けたけれどなかなか会話が弾まないまま、気が付けば駅の近くまで歩いてきた。

人通りが徐々に多くなり賑やかになっていく。飲食店も何店かあるけれど御子柴さんはそれには全く見向きもしない。むしろそこからどんどん遠ざかっていき、やがてビルとビルの間にある細い路地を曲がり狭い裏路地へと入っていった。
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